どうもTimです!イソメ毒のネライストキシンについてチョコっと調べてみたので記事を残します。
抄録
- レポート作っていたら論文が読みたくなった
- 魚へのイソメ毒作用についての論文を見つける
- ネライストキシンについて調べてみる
- 唯一の動物由来の殺虫剤として使われていた!!
なんか論文読みたいなあ(深夜テンション)
私は絶賛テスト1週間前を迎えているのですが、少し前のレポートが残っているのでこいつの討伐もしないといけません。
ハチマキ締めてレポートをノリノリで進めていたのですが、レポートの修正箇所をどのように書けばいいのかなあ、という疑問がわいてきました。
結局、該当する大見出しの下に修正セクションを作ることにしたのですが、論文などではどのように書かれているんだろう、と適当に論文を調べたことが今回の発端です。
論文検索サービスと言えばJ-STAGEですが、トップページに月間アクセスランキングを見てしまったのが良くなくて、こんなのをみつけてしまいました。
イソメ毒 (nereistoxin) の水産動物に対する毒性について
私はお魚愛好家なので「論文長くないかなあ?」「レポートやらなアカンし...」と考えながらポチりました。
レポートの内容は大まかに以下のようなもので
- イソメ毒、ネライストキシンは魚が経口摂取しても問題ないけど水中に溶かすと麻痺作用があるで
- これはpH値に大きく支配されてアルカリの時は毒やけど、酸性ではほぼ無毒やで
- 毒はイソメの体表部組織の中にしか無いで
- やから抽出するときはイソメをミキサーでミンチにするで
- 生きているときは毒が出てこうへんで
- 似たような生き物、ゴカイ、イトメには毒が無いで
- フグ毒のと比較で、イソメ毒は水に溶かすと魚介類にも効くけど、後者はめちゃくちゃ溶かしても魚介類に全然効 かへんで
ほぼ論文の抄録を引用したけど、ザックリこんな感じ。
NTX論文メモ
論文や他のページを調べたことをまとめてみる。
ネライストキシンの基本データ
- ネライストキシンはNTXと略されることが多いため、この記事でも同様に省略する
- NTXの分子式は$C5H9NS$
- イソメの学名、Eunicidaからきているらしい(全然似てない)
- 新田という開業医によって発見・命名されたらしい(1920-40年ごろ)
水のpHと毒の関係
この毒は環境水のpHによって大きく毒力が変わってくるらしい。
アルカリ性の場合は依然強い作用を持つが、酸性の場合は効き目が大幅に落ちるらしい。
論文中の図を引用させていただく。
こんな感じで中性に近づくとガクッと毒力が低下する。
先ほど言ったように魚はこの毒を経口摂取、つまり食べた場合は効かないとあったが、魚は僕ら人間と同じように胃酸を分泌するので、食べることで無毒化しているのかもしれない。
ここからも酸性に効かないことが分かる。
魚の胃について日本語のページが見つからなかったので中国の記事だが翻訳して見てみた。ほんの少し中国が分かるので上機嫌。
他に考えられる理由として酸性では水溶性なのに 、アルカリ性では難溶性であるみたいなのでこの性質も関係していると考えられているらしい。。
論文の結論要約
- 毒は恒温動物と魚介類みたいな変温動物と効き方が違うことあるで
- イソメ毒も例外じゃない
- 毒の効き方が一緒だという先入観を捨てて、それぞれのケースで対処するの大事やで
- 水に溶けた途端、有毒化するから養殖業や漁業など、水産物に与える影響について注視せなアカンで
- 原因不明の魚介類斃死事件として扱われるかもしれへんから解明進めなあかんで
今の自分やったら毒の作用を研究結果で得られても、ここまでスケールした考えに及ばないだろうから視野を広く持ちたいね。以上!
NTXの殺虫剤としての利用
NTXが実際に利用されているのかどうかが気になったので調べてみたら、以下の論文がヒットしたので新たに読んでみた。
この論文はNTXの殺虫作用に着目して開発された、カルタップ(CTP)という殺虫剤について開発経緯や効果をまとめたものだ。
ぶっちゃけ自分にとっては読むのが難しかった。科学の授業程度の知識では化学式や専門用語が理解不能やねんやった。
そのため簡単な理解としてメモを残しておく。
CTPメモ
- カルタップは加水分解でNTXに変わるプロドラックやで
- 現在唯一の動物体内成分由来の殺虫剤と言われている!!
- NTXは回復毒らしい
- NTXは虫への麻痺作用があるけど体内で無毒化されるケースもあるんやで(ロジックは未解明のまま)
- NTXの殺虫作用としては刺激伝達物質のアセチルコリン(Ach)に対して競合的に結合して作用している
- CTPは哺乳動物や環境安全面で優れている
- CTPは体内でNTXに変換されたのち、中枢神経に作用し麻痺作用、さらに自律神経系をも攪乱する
- → 中毒虫は行動・生理機能が乱され、ストレス耐性も大幅に減衰、死に至る
最後に
昆虫目線で殺虫剤開発は、同族がいきなり捕まったかと思うと、体を弄られながら構造を調べられ、毒を投与されたら経過を観察されて、苦しんだり死んだりが繰り返されて開発されたのが「殺戮スプレー」。
人間目線では虫よけや殺虫剤の開発会社の方々に感謝しているけど、実際に実験する立場になるとしんどいものがあるなあ、とか思ったね。
お気持ち表明になってしまったけど、いざ論文を見てみると実験の流れを知れたことや、まとまった実験結果を吸収して満足だったけど、動物実験の描写を見てしまうといろいろ考えることあるよね、まとめです。
自分も学年的に卒論がそう遠くない存在なので論文を書く時の心構えを身に着けておきたいものだ。
卒論待ってろ!!